言の箱庭

文章が好きな20代の独り言です。

あの子の姉であるということ

それは常に比較されるということ

あの子の姉であるということ

それは常に期待されるということ

あの子の姉であるということ

それは常に2番手であるということ

 

あの子の姉であるということ

それ自体は嬉しいはずなのに

たまに少し、嫌になる。

 

 

 

私の唯一の妹。彼女は才能に溢れている。

学習面、芸術面、共に良い結果を残す。それで驕っているのかといえば別にそうでは無いし、向上心もある。

見た目も良い。少し幼い顔をした彼女はその場に即した態度で動くことが出来るので非常に他人から好かれやすい。

彼女は昔から私の自慢の妹で、大切な人。

 

しかし周りの人が絡んでくるとどうもそればかり言ってはいられなくなる。

祖父母には成績を比べられ、両親は妹を褒める言葉ばかりを口にする。勿論成績は彼女の方が優秀だし、私より出来ることが多いのだから当然なのかも知れないが、どうしても幼い私は納得がいかなかった。

学校の先生にはよく妹の名前で呼ばれた。別に顔が似ているわけでもなく、名前が一音違いという点では呼び間違い易いのかもしれないが、それならば期間的に長く学校に居る私の名で彼女を呼ぶのではないかと思ってしまった。しかし彼女自身は間違えられたことがないらしい。何故だ。また、私の担任に私が呼び間違えられたこともあるので尚更腑に落ちない。きっとそれだけ印象に残る子なんだろうと勝手に結論付けた。

 

給与の高さに惹かれた私は現在、彼女の元バイト先で派遣社員として働いている。しかしどうだろう。5年も6年も前に在籍していたただのアルバイト、一学生であった彼女の事を共に働いていた学生や主婦さんはともかく、他店の正社員や本部のマネージャー達までよく覚えていた。何故だ。結局それだけ優秀な子だったらしい。当時の彼女より上の立場になって尚、「さすが妹ちゃんのお姉さんだね」と言われることに少し引っ掛かりを覚えてしまう私は子供なのだろうか。一緒に働いたことは無いので定かではないが、確かに仕事のスピードは目を見張るものがあったらしい。その域まで達しているのかと問われればまだまだなのだろうと思う。悔しい。

 

私はまだまだ感情的になったり思考が幼い事がよくある。そのため彼女に諌められる事もままある。その時にはカッとする事もあるが、冷静になってみれば実際彼女の言う事が正論であって間違っているのは私だったりするので仕方がない。

そんな彼女だが、両親のことが大好きで、2人のこととなるととても子供っぽくなったりもするがそれはそれで彼女の魅力だと思う。

 

こういう事ばかりを呟くからだろう。彼女に対して劣等感を抱いていると思わることがよくある。無いとは言わない。けれど別にそれで一方的に嫌ったりするほどではなく、どちらかと言えば尊敬の念の方が勝つ。

何はともあれ、夢を叶えて一歩踏み出した私にとって唯一の妹、そんな彼女が私は大好きだ。